ペットと一緒に日本へ帰国するまでの記録

パソナインディアから約7年間プロジェクトスタッフとして日系金融機関で勤務をされていた七戸さんにインド経験と思い出についてまとめていただきました。今回はインドからワンちゃん、猫ちゃんたちとの日本へ連れ帰るまでの経験です。ペットと帰国を考えている方、渡印を考えている方の参考になれば幸いです。それではご覧ください。


2020年にインドへ来てから、6年と9か月が経ちました。

インド生活も残すところあと数日。
大の動物好きな私が、インドに来たときに心に誓ったこと。
それは、「インドの野良犬を、絶対に家族にする!」ということでした。

インドには、本当にたくさんの野良犬がいて、毎日を必死に生きています。
現地のボランティアによる避妊去勢や保護活動もありますが、犬の数が多すぎて追いついていないのが現状です。
たくさんの小さな命が生まれては、交通事故や感染症で亡くなっていく。そんな悲しい現実を目の当たりにするたび、救うことができなかった自分に、何度も悔しい思いをしてきました。

そんなとき、私の心に深く共感した、ある言葉があります。

“Saving one dog will not change the world, but surely for that one dog, the world will change forever.”
(1匹の犬を救っても世界は変わらない。でも、その1匹にとって、世界は永遠に変わる)

そんな言葉に後押しされ、私は、親のいない子犬たちの中から、1匹の子を迎えることに決めました。
免疫力がなく、皮膚も弱く、この厳しい環境では生きていくのが難しいかもしれない……そう思った子です。

実はこの犬を迎える1年前にも、もう1匹の子猫との出会いがありました。近所の方がマンションの敷地内の庭で、ポツンと1匹でいる子猫を見つけ、動物好きな私に「飼わないか」と声をかけてくれたのです。猫を引き取る予定なんて全くなかった私ですが、目の前にいる子猫の愛らしさに、その場で家族に迎えることを決意。そんなこんなであっという間に、犬1匹・猫1匹との新生活がスタートしました。

 

そして犬を迎えてからさらに1年後、マンションの敷地内で犬の散歩をしているとき、野良犬に吠えられている小さな子猫を発見したのです。小さな体で必死に対抗している姿を見て放っておくことができず、とりあえず家で保護することに。新しい里親を探そうとも試みましたが、結局、可愛すぎて手放せなくなってしまいました。

こうして我が家は、犬1匹、猫2匹のにぎやかな大家族になったのです。

 

そして今年2月、まずは猫2匹を日本へ無事に連れていくことができました。今は一足先に日本の実家へ身を寄せ、美味しいキャットフードをたらふく食べて、さらに大きく成長しています。次は、残る相棒の犬と一緒に日本へ帰る番です。

犬猫を飼うと決めた日から調べ始めた、ペットの輸出入の手続きに関して、私の体験談でしかないですが、これから海外で犬猫を飼いたいと思っているけれど「日本へ連れて帰れるのか不安」と思っている方や、すでに犬猫を飼っていて帰国を控えている方など、どなたかの参考になればよいなと思い、ここに記録を残させていただきます。

(※本コラムは、デリー空港から羽田空港への渡航記録です。)

 

ひとまずいつ日本へ帰るかはその時は未定でしたが、いつでも帰れるように準備を進めることにしました。

まず最初に行ったのは、
マイクロチップの埋め込みと1回目の狂犬病予防接種です。

マイクロチップ装着後、同日に1回目の狂犬病予防接種を行いました。

 

※どこのインドの動物病院でもマイクロチップの埋め込みができるかは分からないため、
その病院がペット輸出の手続きに対応した経験があるかどうかを、事前にきちんと確認することをおすすめします。

私自身は、DCC Animal Hospitalという、日本とシンガポール系の会社が運営している動物病院にお世話になっていました。
ペット輸出手続きの経験も豊富で、獣医師の方々も丁寧に対応してくださる方が多く、毎回安心してお願いすることができました。

 

その後、1回目の接種から30日以上の間隔をあけて、
2回目の狂犬病予防接種を行います。

 

※2回目の接種は、「1回目から30日以上あける」かつ「1回目の有効免疫期間内」に行う必要があります。この条件を満たさないと無効になるため、日付管理には十分注意してください。

※狂犬病ワクチンの有効期間は種類によって異なりますが、一般的には約1年のものが多いです。使用するワクチンの有効期間については、必ず獣医師に確認しましょう。

 

そして、帰国することを決めた段階で、狂犬病の抗体検査を行います。

帰国を急いでいる場合は、2回目の狂犬病予防接種と同日に抗体検査を行うことも可能です。

私の場合は、帰国日がまだ決まっていなかったため、1回目の狂犬病予防接種の有効免疫期間が切れないよう、毎年継続して狂犬病予防接種を受けさせていました。

その後、帰国時期を大まかに決めた約9か月前に狂犬病の抗体検査を実施しました。

(※狂犬病抗体検査の有効期限は、採血日から2年間です。そのため、2年以内に日本へ帰国する予定がない場合は、帰国時期がある程度見えてきたタイミングで、余裕をもって実施することをおすすめします。)

 

採血を行い、血清を日本が指定する検査施設へ送る必要があります。

しかし、インド国内には日本が指定する検査施設がないため、血清は海外の検査機関へ輸送されます。

この点については、動物病院が採血から海外への輸送手続きまで一括して対応してくれたため、自分で特別に行う手続きはありませんでした。

やはり、こうした一連の流れをスムーズに進めるためにも、
これまで述べてきたように、ペット輸出に詳しい動物病院を選ぶことが非常に重要だと感じました。

費用は掛かりますが(DCC Animal Hospitalは検査から輸送も含めて22,000ルピー)、きちんと対応してくれるので安心です。

 

ちなみに、私が利用していたDCC Animal Hospitalでは、血清は**Animal and Plant Health Agency(APHA)**へ送付されていました。

どの検査機関へ送るかは動物病院によって異なる場合があるため、
事前にきちんと確認しておくことをおすすめします。

また、日本には指定された検査施設があるため、必ずその要件を満たす検査機関へ送付する必要があることも、あらかじめ伝えておきましょう。

 

狂犬病の抗体検査後は、180日間の待機期間に入ります。

採血日を0日目として、180日以上の待機が必要です。

この待機期間を満たさずに日本へ渡航した場合、
不足している日数の間、ペットは動物検疫所の係留施設で係留検査を受けることになります。

そのため、トラブルを避けるためにも、必ず180日以上待機するようにしましょう。

待機期間があることを踏まえ、やはり時間に余裕を持って計画を進めていくことが重要です。

 

この待機期間中に、**Microchip Certificate(マイクロチップ証明書)**を、かかりつけの動物病院で作成してもらいました。

 

そして、狂犬病抗体検査から約1か月後、PDF形式で検査結果が届きました。

原本の到着には、さらに時間がかかりました。

 

まず、抗体価(免疫抗体の量)が0.5 IU/ml以上であることを確認し、あわせて記載内容に誤りがないかも、必ずしっかりチェックしましょう。

 

そのうえで、私はこの検査証明書とともに、日本の動物検疫所へ**「輸入届出書」**をメールで送付しました。

※現在は、原則として日本到着日の40日前までに事前届出を行う必要があります。現在の手続きでは、NACCS(動物検疫関連業務)を利用して届出を行うことが基本とされているようですが、利用できない場合などは、動物検疫所へ直接送付でOKです。

私の場合は、登録がうまくいかなかったこともあり、NACCS利用を諦めて直接動物検疫所にメールしました。

 

もし分からないことがあれば、遠慮せず、何度でも日本の動物検疫所に確認することをおすすめします。

「しつこいかな」と思うくらいでも、事前にしっかり確認しておくことが大切です。

 

私自身もわからないことがあれば動物検疫所へメールで問い合わせをしていました。

問い合わせが立て込んでいるのか、返信までに数日かかることもありましたが、毎回とても丁寧に返信してくださり、安心して手続きを進めることができました。

 

提出した輸入届出書は、日本の動物検疫所によって内容が確認され、記載事項に不備がなければ、メールで**「届出受理書」**が送付されます。

不備があった場合も、その内容や必要な対応についてきちんと案内してもらえるので、指示に従って対応しましょう。

届出受理書の受領後に内容の変更があった場合も、日本の動物検疫所に「変更届」を提出することで対応してもらえます。

 

そして私の場合、インドの動物検疫所へ提出する書類や、渡航前の臨床検査に不安を感じていたため、書類の準備や検査当日の立ち会いをエージェントに依頼しました。

利用したのは、AirPets Relocation Servicesです。

インドの動物検疫事務所に近い立地であること、他社と比較して費用が比較的抑えられていたこと、そして何より返信が早かったことが決め手でした。

インドには、他にも多くのペット輸送(Pet Relocation)サービスを提供している会社があります。

多くのエージェントは、最初の準備段階から渡航まで一貫してサポートしてくれますが、その分、費用も高くなる傾向があります。

私はコストとのバランスを考え、途中までは自分で手続きを進め、インドの動物検疫所が関わる最終段階のみエージェントのサポートを利用するという方法を選びました。

 

臨床検査の日程が近づいてくると、エージェントから日本の動物検疫所へ提出するForm ACの下書きが送られてきました。

その内容を確認したうえで、日本の動物検疫所へ事前確認として提出しました。

1回目の返信では、狂犬病に関する記載が一部漏れているとの指摘があり、
修正後に再提出したところ、2回目で問題ないとの回答をいただきました。

その後、臨床検査を実施し、インド側で裏書証明を受けたForm ACについても、渡航前に改めて事前確認のため、日本の動物検疫所へ送付するよう案内されました。

 

もうひとつ、渡航日が確定したら、航空会社へペット同伴(動物搭乗)の予約を行います。

私はANAを利用しましたが、ペット同伴の予約は数年前と比べてかなり簡単になっており、LINEの自動応答を通じて必要事項を入力するだけで手続きが完了しました。

予約確認の連絡が届けば、それで予約は完了です。

その後、オンラインの予約確認ページにもペット同伴の情報が反映されるため、
予約が正しくできているかはそちらで確認することができます。

 

ここまでが完了したら、あとは出国前の臨床検査です。

今回、私の場合は渡航の6日前に実施しました。

(※臨床検査は、出発日から10日以内に行う必要があります。)

 

事前に、インドの動物検疫所へ訪問予定日のアポイントメントをメールで送付します。

 

アポイントメント当日は、

インドの動物検疫所へ、ペットと一緒に10時30分までに到着しなければなりません。

私の場合、インド側で提出する書類や、日本の動物検疫所へ提出するForm ACの準備は、事前にエージェントへ依頼していました。

 

当日はエージェントに指示された通り、

・マイクロチップ証明書
・ワクチンカード
・狂犬病抗体検査

の原本を持参し、まずはエージェントのオフィスへ10時に向かいました。

 

そこで書類の確認、署名を行い。

エージェントの担当の人と一緒に犬を連れて、動物検疫所へ向かいました。

AirPets Relocation Servicesはインドの動物検疫所の道路を挟んだ向かい側に位置しているので、書類の確認を終えたらすぐに向かいました。

 

前回、猫を連れて検査を受けた際は、待っている方が何組かおり、
11時に開始してから終了まで午後2時頃までかかった記憶があったため、

今回も時間がかかることを覚悟していました。

しかし、エージェントが書類を窓口に提出した後すぐに中へ呼ばれ、
待ち時間はおよそ10分程度。

その場でマイクロチップリーダーを渡され、自分でピッと確認を行い、
そのまま「Done!」と言われて、

「えっ、もう終わり?」と思うほど、あっけなく終了しました。

 

その日の16時頃、動物検疫所にて記入・署名が完了したすべての書類が、エージェントへ引き渡されます。

その後、エージェントにて書類をスキャンしてもらい、メールで送付してもらいました。

受け取ったスキャンデータのForm ACを、日本の動物検疫所へメールで送付し、最終確認をしてもらいます。

 

この時点では日本の動物検疫所の業務時間が終了しているため、
翌日、「問題ないことを確認しました」とのメールを受け取りました。

これで、あとは出発の日を待つのみです。

そして今、私はまさにその段階にいます。

 

出発の日に空港まで犬を連れて行くこと、環境の変化にどこまで耐えられるのか、そして空港での書類チェックがスムーズに進むのかなど、不安や緊張もありますが、

すべてがうまくいくことを願いながら、
そして日本へ無事に帰国したあとには、インドではできなかった、さまざまな場所へ一緒に出かけ、この世界の美しさを見せてあげられる日が来ることを楽しみにしています。

 

ここからは、デリー空港到着後から羽田空港到着までの流れについて、以前猫と渡航した際の経験をもとに記録していきます。

 

2匹の猫を連れて空港に到着したら、まずは必要書類をすべて提出します。

原本は日本の動物検疫所での確認に必要となるため、
手元で大切に保管し、航空会社にはコピーを提出します。

※クレートは、IATA基準を満たし、ペットの体のサイズに合ったものを選びましょう。

クレートの中には、ペットシーツや毛布などを入れても問題ありませんが、それ以外のものはできるだけ入れないようにしました。

また、ANAでは給水器(ノズル式)の取り付けが必須だったため、給水器をクレートに取り付けました。普段からボトルから水を飲む練習などはしておらず、絶対に飲まないだろうとは思っていましたが、規定のため、取り付けました。餌については、クレート内に入れてはいけないとの案内だったため、入れませんでした。

 

書類の確認が終わったら、自分の荷物をチェックインカウンターで預け、その後、ペット輸送料金の支払いを済ませます。

料金は、1匹につきデリーから羽田までUSD 250でした。

 

その後、手荷物と猫を連れて、ペットクレートのスキャンを行うための場所へ移動します。

この際、ペットは一度クレートから出し、クレートのみをスキャンします。

スキャンは完全に閉じられた場所で行われるわけではないため、特に注意が必要です。

犬の場合は比較的問題ないことも多いですが、
猫の場合は環境の変化に敏感なため、パニックになって逃げてしまう可能性があります。

私の猫も外に慣れていなかったため、逃げてしまわないかとても緊張しました。

実際に、日本人の知人からも、このタイミングで猫が逃げてしまったという話を聞いていたため、細心の注意を払いながら対応しました。

 

スキャンが終わったら、猫をクレートに戻し、しっかりと施錠を行います。

その後、クレート全体を緑色のネットで覆われます。

 

私が猫たちの姿を見られたのは、ここまででした。

ここから先は係員の方が猫を引き取り、飛行機へ運び、貨物室へと搬入されます。

無事に日本で会えることを願いながら、しばしのお別れとなりました。

 

そして、7時間のフライト後、日本へ到着。

不安でほとんど眠れなかったのを覚えています。

 

猫は荷物を受け取る場所までベルトコンベアーではなくエレベーターから運ばれてくるということで、エレベーター前で猫たちが来るのを待ちます。

 

待っている間に、日本の動物検疫所の担当者が書類の確認をしてくださいます。

 

そして約30分後、エレベーターから猫たちが到着。

きっと大きなストレスを感じて、とても怖かったのだと思います。
2匹とも毛布に隠れるようにしていましたが、無事に到着してくれました。

本当に安心しました。

 

実は出発の数日前、猫の負担を少しでも軽減できればと思い、
何か使える薬がないか、かかりつけの獣医師に相談をしていました。

その結果、ガパペンチンという薬を処方してもらいました。
もともとは人間用に開発された薬ですが、現在では犬や猫にも広く使用されており、
不安や緊張を和らげる作用がある薬です。

比較的安全性が高いとされているものの、処方薬のため、必ず獣医師の指示のもとで使用しました。

 

それもあってか、普段は外に出るとみゃーみゃーと鳴いてしまう猫も、この日はいつもより落ち着いており、薬が効いていたのだと思います。

 

不安な場合は、かかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。

 

猫が到着したら、猫を連れて動物検疫所のカウンターへ向かいます。

その時点で書類の確認はすべて完了しており、
きちんと閉じられた空間で、マイクロチップリーダーによる確認が行われます。

手続きはとてもスムーズで、5分以内に終了しました。

 

すべての手続きが終わり、大きな安堵と喜びを感じたことを今でも覚えています。

今回の犬の渡航も、同じように無事に日本へ到着できることを願いながら、
本コラムでのペット輸出入に関する体験記録を終えたいと思います。